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Photo: Hachimantai DMO, Inc.
Photo: Hachimantai DMO, Inc.

鉄道の中には、乗るだけで懐かしさを感じさせるものがありますが、JRの花輪線はその代表的な例です。1931年10月に運行を開始し、90年以上にわたり岩手県と秋田県を高原や峡谷を越えて結んでいます。ほぼ一世紀にわたり、乗客は車窓の外に広がる日本の原風景を楽しんできました。

Beech forests – Photo: Hachimantai DMO, Inc.
ブナの森 – 写真提供:株式会社八幡平DMO

安比高原のパウダースノーの素晴らしさは有名ですが、紅葉も見逃せません。八幡平の紅葉は、「日本紅葉の名所100選」にも選ばれています。ピークシーズンは9月下旬から10月中旬で、その期間には安比高原スキー場からゴンドラに乗り、標高1304メートルの前森山まで登れば、眼下に広がる原生ブナ林の美しい紅葉が楽しめます。

他にも、八幡平、七時雨山、姫神山、そしてもちろん岩手山などの名山の数々を一望できます。
また、夜の気温が翌朝よりも低ければ、絵本から飛び出したような雲海を見るチャンスもあります。

Photo: Iwate Hotels & Resorts, Inc.
ゴンドラと紅葉 – 写真提供:株式会社岩手ホテルアンドリゾート

安比高原の「ブナの二次林」は、花輪線が運行を開始した頃、炭や漆の大規模な伐採地でした。地元の人々は、1ヘクタールごとに1本の木を伐採し、最も大きな木は残すという方法をとっていたと言われていて、残した木々から落ちた種が新しい苗木へと育ちました。その森は、清らかな水を供給し、心の安らぎをもたらすとともに、自然を堪能できる素晴らしい森へと成長しました。現在では、日本の「森林浴の森100選」の一つに選定されています。

前森山の雲海 – 写真提供:株式会社岩手ホテルアンドリゾート
前森山の雲海 – 写真提供:株式会社岩手ホテルアンドリゾート

安比高原 ブナの二次林の詳しい情報はこちらをご覧ください。

※二次林とは、その土地に本来あった森林が、台風や噴火などの自然災害や伐採などによって失われ、その後に自然に再生した森林をいいます。

地熱染めで芸術の秋を体験する

Early Autumn around Matsukawa Geothermal Power Plant – Photo: Iwate Tourism Association
松川地熱発電所周辺の初秋 – 写真提供:岩手県観光協会

八幡平市は、自然の資源を活用する歴史が深い地域です。ここには、日本初の商業用地熱発電所である松川地熱発電所が松川温泉の奥にあり、2019年には新たに御在所沼の近くに松尾八幡平地熱発電所が営業運転を開始。同じ2019年に安比岳北麓に建設が始まった安比地熱発電所は、2024年3月に営業運転を始めました。

1970年代には、松川地熱発電所の蒸気を利用した温泉「マグマの湯」が近くのホテルに供給を始めました。現在では、700を超えるホテル、旅館、ペンション、病院などの宿泊・福祉施設がこの「マグマの湯」を利用しています。また、松川に噴出する蒸気から生まれた「地熱染め」という染色技術もあります。

信じられないかもしれませんが、地熱染めの手法は「地熱染色研究所」によって偶然発見され、現在では世界でも類を見ない希少な染色方法として知られています。

この技術の特徴の一つは、地熱蒸気の熱と成分を利用して驚くほど多様な色合いを生み出すことです。高温の蒸気を使って染料が布に浸透する際、蒸気中の微量の硫化水素が染料と混ざり、色が失われることがあります。この染色と脱色という対照的なプロセスが同時に進行することで、幻想的なパターンが生まれるのです。

Photo: Hachimantai DMO, Inc.
写真提供:株式会社八幡平DMO

地熱染めでは、染料が布の繊維の奥深くまで浸透しますので、染料の流れを誘導し、パターンを作る「しぼり」の部分が特に重要です。このプロセスでは、布の一部を縫い留めることで、染料の流れをコントロールし、美しい模様を作り出します。

意外かもしれませんが、日々の地熱蒸気の状態が最終的な染色の仕上がりに影響を与えます。その他にも、多くの要因が染料の混合に影響を与えるため、最終的にはどの布も同じようには仕上がらず、すべてのパターンが唯一無二のものとなります。それが「GEOCOLOR」です。

地熱染色研究所では、自分でこのプロセスを体験できるワークショップを提供しています。ワークショップは染色の職人が担当し、八幡平の歴史や地熱蒸気、しぼりの縫製プロセスについて案内してくれます。作業中に自分の作品の仕上がりを想像するかもしれませんが、蒸気釜でわずか20分間染めるだけで、思いもよらないパターンが現れることもあります。

もちろん、その日のうちに、自分だけのオリジナル作品をお土産として持ち帰れます。
ワークショップは、1名から最大15名までのグループでの参加が可能です。ただし、毎日開催されているわけではないので、スケジュールを事前に確認してください。特にグループでの参加は事前の予約が必要ですので、下記の連絡先情報をご確認ください。
Geothermal Dyeing Pot – Photo: Geothermal Dyeing Research Institute, Inc.
地熱染色釜 – 写真提供:株式会社地熱染色研究所
地熱染色研究所の隣には「アルペンローゼ」というカフェがあり、ここではGEOCOLORの製品も直接販売しています。店内は鮮やかな色合いの手工芸品で溢れており、窓からはすぐ隣にある美しい「五葉沼(ごようぬま)」の池を見ることができ、水面に映る周囲の樹木が、まるで一枚の絵画のような美しさです。
Geothermal dyed teddy bear (limited numbers) – Photo: Hachimantai DMO, Inc.
地熱染色のテディベア(限定品) – 写真提供:株式会社八幡平DMO

地熱染色研究所&ワークショップ – 夢蒸染(むじょうせん)

アルペンローゼ

Photo: Hachimantai DMO, Inc.
写真提供:株式会社八幡平DMO

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