八幡平市は、自然の資源を活用する歴史が深い地域です。ここには、日本初の商業用地熱発電所である松川地熱発電所が松川温泉の奥にあり、2019年には新たに御在所沼の近くに松尾八幡平地熱発電所が営業運転を開始。同じ2019年に安比岳北麓に建設が始まった安比地熱発電所は、2024年3月に営業運転を始めました。
1970年代には、松川地熱発電所の蒸気を利用した温泉「マグマの湯」が近くのホテルに供給を始めました。現在では、700を超えるホテル、旅館、ペンション、病院などの宿泊・福祉施設がこの「マグマの湯」を利用しています。また、松川に噴出する蒸気から生まれた「地熱染め」という染色技術もあります。
信じられないかもしれませんが、地熱染めの手法は「地熱染色研究所」によって偶然発見され、現在では世界でも類を見ない希少な染色方法として知られています。
この技術の特徴の一つは、地熱蒸気の熱と成分を利用して驚くほど多様な色合いを生み出すことです。高温の蒸気を使って染料が布に浸透する際、蒸気中の微量の硫化水素が染料と混ざり、色が失われることがあります。この染色と脱色という対照的なプロセスが同時に進行することで、幻想的なパターンが生まれるのです。
地熱染めでは、染料が布の繊維の奥深くまで浸透しますので、染料の流れを誘導し、パターンを作る「しぼり」の部分が特に重要です。このプロセスでは、布の一部を縫い留めることで、染料の流れをコントロールし、美しい模様を作り出します。
意外かもしれませんが、日々の地熱蒸気の状態が最終的な染色の仕上がりに影響を与えます。その他にも、多くの要因が染料の混合に影響を与えるため、最終的にはどの布も同じようには仕上がらず、すべてのパターンが唯一無二のものとなります。それが「GEOCOLOR」です。
地熱染色研究所では、自分でこのプロセスを体験できるワークショップを提供しています。ワークショップは染色の職人が担当し、八幡平の歴史や地熱蒸気、しぼりの縫製プロセスについて案内してくれます。作業中に自分の作品の仕上がりを想像するかもしれませんが、蒸気釜でわずか20分間染めるだけで、思いもよらないパターンが現れることもあります。
もちろん、その日のうちに、自分だけのオリジナル作品をお土産として持ち帰れます。
ワークショップは、1名から最大15名までのグループでの参加が可能です。ただし、毎日開催されているわけではないので、スケジュールを事前に確認してください。特にグループでの参加は事前の予約が必要ですので、下記の連絡先情報をご確認ください。