松川温泉の歴史

松川温泉の歴史は11世紀に遡ります

岩手県中西部に位置する松川温泉は、古くから湯治場として親しまれてきました。遠方から人々が訪れ、その効能を求めて利用されてきた温泉です。記録によると、その歴史は11世紀初頭にまで遡ります。当時、北部の領土防衛を任されていた阿部家の家臣がこの温泉を発見したと伝えられています。
15世紀から16世紀にかけて、松川温泉は戦乱の時代においても重要な役割を果たしました。地元の伝説によると、大名たちの戦が続くなか、兵士たちはこの温泉を利用し、戦いで疲れた体を癒していたとされています。

松川温泉は、森林に囲まれた丘陵地帯にひっそりと佇み、海抜約850メートルの高さに位置しています。都会の喧騒から離れ、訪れる人々に心からの安らぎを与える隠れた名湯です。
書面による記録によれば、この地域は1743年に正式に温泉地として登録されました。近代に入り、1956年に八幡平地域が十和田八幡平国立公園に編入されたことで、松川温泉はより多くの人々に知られるようになりました。しかし、地元の道路が舗装されたのは1970年になってからであり、それまでは秘境の温泉地としての趣を色濃く残していました。

1966年に最初の商業地熱発電所が設立

1950年代初頭、市当局と宿泊施設の運営者が松川温泉の開発を進めようとした際、地質調査チームは温泉の源泉を掘り当てる代わりに、強力な蒸気の貯水池を発見しました。この発見がきっかけとなり、最終的に1966年、日本初の商業用地熱発電所が設立されることとなりました。

松川温泉の宿泊施設では、風呂の湯はすべて天然の温泉から引かれています。一方、発電所はキッチン用の温水を供給するだけでなく、室内暖房に十分な蒸気エネルギーも提供しています。そのため、冬の厳しい寒さの中でも、温泉客は浴衣で快適にくつろぐことができます。

畳のある客室
良き昭和時代、八幡平の秘湯にて
1966年の初の商用地熱発電所
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松楓荘(2023年11月30日閉館)

現代の松川温泉

現代の旅行者にとって、松川温泉の癒しの硫黄泉は、県庁所在地の盛岡からバスで2時間足らずで訪れることができます。それにもかかわらず、国立公園内の素晴らしい自然環境に囲まれていることから、「日本秘湯を守る会」にも紹介されるほどの貴重な温泉地となっています。