焼走り熔岩流と自然の力
焼走り熔岩流は、1732年に岩手山の火山活動によって形成された壮大な自然の造形です。岩手山の北東斜面、標高920メートルから1200メートルの間にある複数の割れ目から溶岩が噴き出し、約3キロメートルにわたって流れ下りました。この熔岩流の幅は、最も広い部分で1キロメートルに達します。観光路周辺では、溶岩の厚さは5メートルから10メートルにもおよび、溶岩が流れた当時の迫力を感じることができます。現在は遊歩道が整備されており、自然の力強さと美しさを間近で体感できる観光スポットとなっています。ぜひ、歴史ある焼走り熔岩流の大地を歩き、そのスケールを実際に感じてみてください。
焼走り熔岩流周辺で見られる岩石は、拳大から直径1メートルほどのさまざまな大きさのものがあります。これらの岩石は、オリビンを含む輝石安山岩で構成されており、それぞれの岩石の重さや表面の質感は、長年の風化パターンの違いによって多様性を見せています。また、このエリアは気温の変動が激しく、溶岩の表面温度は、夏には最高40°Cに達することがあり、逆に冬には-20°Cまで下がることもあります。この厳しい気象条件が、独特な自然環境を作り出しています。訪れる際には、季節に応じた服装で快適に観光をお楽しみください。
日本では溶岩流自体は比較的珍しくありませんが、焼走り熔岩流は以下の点で際立っています。
- 噴火の正確な日付が分かっていること。
1732年の噴火と特定されており、歴史的にも貴重な記録です。 - 地形の大きな変化が見られないこと。
約300年経過しても、当時の溶岩流の形状をほぼそのまま保っています。 - 植生がほとんど見られないこと。
現在も溶岩の上には苔や地衣類、わずかな血管植物しか生育しておらず、過酷な環境を物語っています。
これらの理由から、焼走り熔岩流は自然の変遷を学ぶ上で非常に貴重な場所であり、科学者たちにとっても興味深い研究対象となっています。
