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黒谷地湿原

黒谷地(“黒い湿地”)の特徴的な濃い深緑の森林は、オオシラビソの群生によって形成されています。

茶臼岳と八幡平が交わる山麓、黒谷地一帯の大地は黒い泥炭層に覆われています。春になると、深い冬の雪が解け始め、広大な湿地帯には水生植物やイワカガミなどの湿地植物が、昨年の枯れ草の間から顔を出します。夏には、アジアクロユリやアキノキリンソウ、そしてイワショウブの花々が風に揺れ、爽やかな景色を作り出します。秋になると、リンドウの群生が鮮やかな紫色で湿原を彩り、一帯は幻想的な美しさに包まれます。黒谷地の四季折々の変化は、訪れる人々を魅了する自然の息吹を感じさせてくれます。

黒谷地展望台は、湿地への入口から約700メートル進んだ場所にあり、ここからは広大な黒谷地湿地とその中に点在する美しい池を一望することができます。また、木道のトレイルを進むと、湧き水が湧き出るスポットである熊の泉(クマノイズミ)に出会えます。自然の中で一息つける、清らかな水の流れを楽しめる場所です。湿地散策の際には、ぜひこれらのスポットにも立ち寄ってみてください。

強い風が吹き抜ける尾根沿いには、乾燥に適応した植物が力強く生育しています。一方で、雪が完全に解けず、風が届かない崖下の湿った環境には、湿潤な条件に適応した植物が見られます。ただし、この過酷な環境では植物の成長が遅いため、ニッコウキスゲ、コメバツガザクラ、クルマユリ、ウゴアザミ、シナノキンバイといった野花は、山頂の春の高山植物が終わりを迎えた後にようやく花を咲かせます。高山の厳しい気候に耐えながら、季節の移り変わりとともに咲くこれらの花々は、短い夏の訪れを感じさせる貴重な風景です。